なぜ、この店を
始めたのか。
店主が辿り着くまでの話を、正直に書きます。
辞表を出した夜
2019年春、31歳のとき、10年勤めた会社を辞めました。理由はひとつ。このまま生きていていいのか、という漠然とした不安が消えなかったから。
退職の夜、ひとりで入った路地裏の小さなラーメン屋。深夜1時、客は私だけ。大将が無言でカウンター越しに一杯の醤油ラーメンを差し出した。
このスープには、誰かの時間が全部入っていると思った。」
次の日の朝、その店にまた行った。皿洗いでも何でもするから修業させてほしい、と頭を下げた。
修業の、7年間。
最初の3年は、その店で朝から深夜まで。ダシの取り方、麺の加水率、チャーシューの煮込み方。全部、身体で覚えた。
その後は関東・関西の名店を食べ歩き、2年かけて自分のスープを試作し続けた。仕込みに失敗した夜は300杯以上捨てた。
その一念だけで、7年間続けられた。」
2026年、ようやくこの場所に「麺屋 燈」を開けることができました。ここが俺の、最後の修業場所です。